その8 「ポケモンとして軸がぶれている」

後編




前編に戻る





「うふふふふ、光の速さで保存よぉぉぉ」


「うぎゃあああああああああああああ」


「だ、誰ですか!? この人は!!」


「と、とにかく相手はフローゼルだ! それだったら……
 いけ、らいち! 10万ボルトだ!」


「言われなくてもわかってるわよ! そぉい!」


「ん?」


「はっ、危ない!!」












らいちの 10まんボルト !

しかし ぜるるには あたらなかった ! ▼














イ゙ェアアアアアアアアアアア!!!


「奇怪な声を発しながら天に召されていった!?」


「ひろしいいいいい!!!!」


「誰よ、ひろしって……」










ピンポーン












「お邪魔しまーす」


「あ、すぅ! ごめんね、ちょっと今不審者が家に入ってきたから駆除しているところなのよ」


「あ、その不審者……。実は私の友達なんですよ」


「へ?」


「あ、あと彼女はぜるるくんのお姉さんに当たる方なんですよ」


「え……」


「ええええええええええええええええ!!?」












「ということは、わざわざシンオウの実家からココまで来たの?」


「えぇ、泳いできたわ」


「もの凄い根性だ……」


「昔からお姉ちゃんは様々な意味で常人とはかけ離れた存在だったからね」


「でもなんでこっちに来たんだ? まさかぜるるに会いに来るためだけに来たってのか?」


「んー、まぁ、それもあるけど、やっぱりシンオウじゃオンリーイベントとかコミケとか
 そういうのがあまりないじゃない? やっぱり近場に越してきた方が交通費もかからなくてお得じゃん?」


「……は? お、おんりー? な、なんだって?」


「オンリーイベントですね。
 ある特定の漫画やアニメの二次創作などの同人活動の場のことですよ。コミケもそれに類似したものですね」


「すぅ、あんたいつの間にそんな知識を……」


「あら、私は昔からどっぷりと浸かっていましたよ? ただらいちが気付かなかっただけです」


「(なんてことかしら……! すぅ、恐ろしい子……!)」


「っていうわけで! アタシ、ここにこれから住むからよろしくね!」










「……」




































「ええええええええええええええええええ!?」











「そんな急に!?」


「というよりも部屋空いてんのかよ」


「無理な話よ! だって4人で1人1部屋ずつ使っちゃってるもの」


「じゃあ、せっかくだし、アタシはぜるると一緒の部屋でいいわ!」


『一緒いいわ』じゃなくて、『一緒いいわ』なんじゃないの……


「別に部屋のスペースが空いてなくてもいいわよ。押入れに住むから」


「それじゃあ秘密の道具を出さなければなりませんね」


「笑ってる場合か!!
 というか、すぅ、あんたが持ってきたんだからあんたの家に住ませなさいよね!」


「うちはお父さんとお母さんが拾ってきちゃダメだって言ってましたから」


「ものすごい言われようですね」


「でもなんでだろう、全然怒りの感情が出てこないや」


「かわいそうなぜるる……」


「しかし同人活動するために海を越えて渡ってくるとは……」


「本当にオタクって趣味に対しては異常なくらいに無駄な労力を費やすわね」


「話はまとまったみたいね? それじゃあ、改めてよろしくね!!」


待て待て!!!
 これっぽっちも解決してないっての!!
 話があわなすぎて今ちょっと上の方へスクロールし直したわよ!」


「こりゃあ、ものすごいボケキャラが来たな!」


「かげろーと良い勝負ですよ……」


「おぉ、そうか!!」


「(バカにされているのに気づいていない……)」








「もう、今更何を躊躇しているのよ!
 アンタも女ならさっさと決断しなさい!」


「そうですよ。迅速な対応を望みます!」


「(あれ? 何故からいちが怒られている……)」


「もう、何よ、この理不尽な状況!!
 応援団でも呼んでやろうかしら!!!」


「あ、曲は『レッツゴー○陰陽師』で」


「だから隠せてないってば」









「もういい加減に決めちゃいなさいよー。
 別にいいじゃない、減るものでもないし」


「むしろ増えますしね(数量的な意味で」


「いーや、酸素が減る!!
 お風呂に入るときに、お風呂の水も減る!!
 私の出番も減る!!
 もうやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ


「うわあああああ!!
 ら、らいちが! あのらいちが壊れた!!」


「地団駄を踏んでいるぞ……」


「お、落ち着いて、らいち!」


「HA☆NA☆SE」


ずっとらいちのターン!!









「いやー、でもこれで晴れてアタシもこの家の住人ね!」


「だから何も解決してませんって」


「もうこうなったら誰にもお姉ちゃんの暴走を止められることはできないよ……」


「ま、でもよくよく考えてみれば、弟に会いにわざわざ遠くから来た
 家族思いのヤツなんだから別にいいんじゃねーの?
 俺は別に構わないぜ」


「そうですねぇ。確かに考え直してみると、いたって普通の方かもしれませんね」


「うーん、まぁ、お姉ちゃんだし、悪いことはしないと思うから……」


「……まぁ、ぜるるがそう言うんだったら、仕方ないわね。
 無下に返すのも悪い気がしてきたわ」


「それじゃあ……?」


「えぇ、いいわよ。
 ただし、食費やらは自分で払ってよね。
 うち、結構家計が厳しいから」


「おk、おk。住まわせてくれるのであれば、
 例え火の中水の中草の中森の中土の中雲の中あの子のスカートの中!!」


「じゃあ、改めてよろしくな、えーっと……」


「そういえば、まだ名前を聞いてませんでしたね」


「アタシの名前かい? アタシはナナリー、ホープタウンのナナリーさ


世界を間違えてますよー


「おっと、危ない危ない。ちょっくら時間旅行のツアーに行ってたぜ」


(いちいち自己紹介が長いですね……)


「ふろろよ。よろしくね」


「えぇ、よろしくね」


「良かったですね、ふろろ」


「ええ、そうね」

































「(計画どおり)」


















「うぅ、なんだかこれから嫌な予感がする……」









次の話題へ







前の話題へ